日本を元気に!あなたの街のささえびと


トーク内容です。

 

西村愛さん=愛

古橋悦子=悦

 

愛:この時間は、地元や地域、街を盛り上げて元気にしようと頑張っている、「私たちの日常を支える人」=“ささえびと”を紹介するコーナーです。今日は、人々の人生や思いを絵本にして伝えられている『京都の聞き書き絵本』の古橋悦子さんをご紹介します。今、京都市左京区にあります古橋さんの御自宅にお邪魔しています。かわいらしい白のねこちゃんがひなたぼっこしていて、とても和やかなリビングからお伝えいたします。まずは、古橋さんが手がけられている「京都の聞き書き絵本」という活動はいつごろはじめられたのでしょうか。

 

悦:2001年頃にボランティアとしてはじめました。

 

愛:それはどんなきっかけだったのですか?

 

悦:私は視覚障がい者の歩行指導とか、老人福祉施設で介護とか相談員、ケアマネなどをしていたのですが、当時、お年寄りとお話をする機会が多くて。でもなかなかご自身のことを語らないまま、語りたい思いがあっても語らないままに亡くなられる方も多くて。そういう人のお話をゆっくり聞きたいと思ったのがきっかけです。

 

愛:そういった思いで、2001年ではじめられて、10年間はボランティアでされてきたと伺いました。起業されたのは2011年だとのことです。古橋さんは様々な方の依頼をうけて、人生を語る本や、思いを本に仕上げていらっしゃるのですけれど、今、目の前にずらっと完成した本があります。とてもカラフルで、黄色・水色・緑・赤・・・とありましてね。これは着物の生地ですか。

 

悦:そうなんです。もともとはもっと簡易的な冊子でした。昨年二十周年を迎えることができまして、初めて個展をしたのですが。(私が作る本は)中身がすごくオリジナリティーのあるものなので、外側も手作り製本のものを展示したいという思いがすごくあって。それを手伝ってくださる方が現れて。それとは別に、古い布を提供してくださる方もおられて。そういうものを使って手作りの上製本を作りました。今日はそれを見ていただいています。

 

愛:皆さんの思いがつまって、一つ一つ手作業で作っておられる本なのですね。お話を伺っていると、お年を召して、なかなか語りたいことを語る場がなかったり機会がないまま亡くなるのは、うちのおばあちゃんもそうやったかもしれへんな...とか思いました。じっくり話を聞き、こうやって絵本にしてくださると、孫の私だったり、また違う方にも読み聞かせをして、その方の人生を味わうことができるって素敵な機会だなと思います。これまでにどんな方からどんな依頼でどんな絵本を作ってこられたのですか?

 

悦:やっぱり一番多いのはお年寄りのお話を聴くことです。でもご本人だけじゃなくて、娘さん息子さんからお父さんお母さんのお話をきいてほしいとか。あと変わったところでは、おばあちゃんが、障害のあるお孫さんのことを絵本にしてほしいとおっしゃったり。お家で飼われていたペット、それはワンちゃんだったのですが、ワンちゃんのことを絵本にしてほしいというお話も。いろいろあります。

 

愛:ひとつひとつご紹介したいところですが。今日はその中から一冊するとしたらどの本にしましょうか。

 

悦:では、これ「まんまるおかあちゃん」を。

 

愛:これは誰が依頼された本なのですか?

 

悦:これは私が大変お世話になった元上司である看護師さんのご依頼で、その方のお母様が九十歳を超えておられたのですが。認知症で施設に入っておられて。もの静かなお母様で。でもすごく苦労して生きてこられたその人生を施設の職員さんにも知ってほしいということで。難しい自分史ではなく、忙しい介護の方々でもぱっと読める絵本にしてほしいということで作りました。

 

愛:では少しだけどんなお話しなのか見てみましょうか。こんな出だしです。

「まんまるおかあちゃん。気持ちのいい春の日曜日。京子ちゃんの家族は、みんな早起き。まだ暗いうちに起きてお母ちゃんが作った、たくさんのおにぎりを持って、一家で田んぼに出掛けます。兄弟は、ともこお姉ちゃんに、お兄ちゃんのたーくん、そして弟のえーくん。お勤めがお休みのお父ちゃんを先頭に、みんなでお弁当や道具をいっぱい積んだリヤカーを押しながら、田んぼに出発です。犬のゴンまで、はしゃいでワンワンと走り回っています。・・・」と書かれています。当時の暮らしがうかんできますね。

 

悦:そうですね。やっぱり絵(絵は私ではなく夫が描いているのですが)を描くためには、当時どういう服装だったかとか、そういうことも聞かなくてはいけないのですが、そうしながら話が深まっていったりします。

 

愛:実際にこの主人公のおかあさま、千代子さんにお話を伺ったときって、どんな様子だったのですか?お話を聞く時に大切にされてることってありますか?

 

悦:えっとですね、この時お母様は認知症もあって。一度会いに行ったときはすごく穏やかで愛らしいおばあさんだったんです。その雰囲気を。娘さんからのお話しで作った絵本なのですが。その思いを伝えたいと思いました。

 

愛:完成した本をご覧になって依頼された方はどう感想おっしゃっていました?

 

悦:はい、とても喜んでくださっていました。私もうれしかったです。

 

愛:このように、今ご紹介した本もかわいらしいイラストで描かれていて。写真が多いものもあったりして。それぞれの表現のしかたでストーリーを読んでいるとこういった人生があるんだなぁとか。この時代はこういった暮らしをしているんだなぁとか。新たな発見もありました。また読み聞かせをすることもできるので、これからの若い世代のみなさんに伝えていくこともできます。思いを語るきっかけ、そして伝えるきっかけを作ってくださっている、すてきなささえびとだなぁと思いました。実際に私もこのエピソード書いてもらえいたいなと思う人は、どういう風にお願いしたらいいのですか?

 

悦:ホームページがありますので、そこからメールとか送れるようになっていますので。どうぞ見てみてください。

 

愛:『京都の聞き書き絵本』と検索していただくと公式ホームページがありますので、そちらをご覧ください。この時間は、みなさんの人生や思いを絵本にして伝えていらっしゃる、京都の聞き書き絵本の古橋悦子さんをご紹介しました。ありがとうございました。

 

以上「日本(にっぽん)を元気に!あなたの街のささえびと」のコーナーでした。